私は、東京で2006年から10年間、トレマーガという手芸店を経営していました。ニットデザイナー、手編み教室もして、手芸用品も販売していました。
それまでまったく商売をしたことがなかった私でも、一応、経営者としてお金の勘定をしていくうちに、前とはぜんぜん違う感覚が身につきました。
手芸店を10年経営した後遺症 レストランで楽しめない!
目次
手芸店を10年間経営した後遺症 すぐに計算をしてしまう癖がついた
その中の一つに、レストランやお店に入って、すぐに計算をはじめてしまうという習慣がついてしまいまいした。
・ これくらいの広さだと家賃は何万円くらい?
・ バイトは何人いる?
・ 客単価は一人どれくらい?
・ お昼には何回転して、何人位お客さんが入る?
・ お料理が出てくるまで何分?
・ 材料費はどれくらい?
・ この時間帯でこの人数だと・・・・・
かわいくない客です(笑)
その昔、ママ友とランチしていたころにはそんなことなど考えませんでした。ただ楽しくおしゃべりしてランチを食べていました。
手芸店を10年間経営した後遺症 先日いった新しいカフェの場合
・ これくらいの広さだと家賃は 40万円/月
・ 店長1人にバイト4人 人件費は 200万円/月
・ 客単価は一人どれくらい 雑貨の物販もしていたし高級メニューだった 1800円
・ 座席数は30人ほど 3回転として 90人~100人/1日
・ 材料費は原価率が30%として 540円×100人×25日(定休日週に1日)=135万円
・ 高熱・水道・雑費 30万円
と言うことは、
売上 1800円 ×90人 × 25日(定休日週に1日) =405万円
粗利 405万円 -135万円 =270万円
270万円 - 40万円 - 200万円 - 30万 = 0
きびしい!!
店の作りは、最低限のインテリアでお金をかけずにおしゃれに見えるように工夫している。5年でつぶしてもいいように考えて作っているなぁ、と思った。
こんなことを料理が運ばれてくるまで、お店を見渡して考えてしまう(笑)
迷惑な客です。
手芸店を10年間経営した後遺症 商売をはじめるともう元へは戻れない
このチラシはわかりにくいとか、このポップはいけてるとか、このお店の名前は何屋かわからないから損しているとか、中が見えなくて入りにくいとか、考えてしまいます。
視点が変わってしまいました。
この前、六義園に行ったときなんか、きれいな花が咲いていたのに、植木屋さんが働いているのを見て、この広大な庭園の維持費はいくらかかるんだ? と言った具合です Σ(・□・;)
手芸店を10年間経営した後遺症 視点が何もかも変わってしまう
元生徒さんや仲間の仕事ぶりを見て、よいところと悪いところが透けて見える。
私自身のお店やオリジナルデザインはちゃんとできていないのに、他人のことはよくわかる。
・ この人は華やかに見えるけど、内実は苦しいはず
・ この人は地味だけどコツコツやって生徒さんがついてきている
・ そろそろ次のステップに行く時期だ
・ 今は無理しないほうがいい、余計な経費はかけないで!
・ 派手に立ち回っているけど、実力がともなっていない
・ 今はじっくりと自分のオリジナルデザインをつくりこむ時期
・ ここに集中した方がいい
・ ブログのここを直せばもっと生徒さん来る
それを、自分の仕事に生かせばいいのにそれができないのが、人間らしい自分です (爆)
手芸店を10年間経営した後遺症 気合と根性で頑張っても仕事はうまくいかない
最初のころは、気合と根性で頑張ればなんとかなる、と思ってがむしゃらに頑張ったけど、気合と根性ではお金は入ってきません!!
愛があればお金なんていらない、というお尻の青い子の恋愛と同じで、絶対にうまくいきません。
商売は数字です。私はこれがまったくダメでした。そして、利益がでなくてだんだん心が苦しくなっていった。
マーケティングばかり勉強してもだめです。
マーケティングの基礎を勉強したら、オリジナルデザインの制作をする。オリジナル教材を作る。オリジナルカリキュラムを作る!! です。
あちこちのマーケティングのセミナーをはしごしてもあなたの作品は売れないよ。生徒さんは増えないよ。最後は作品力です。
そして、世の中の人が何を求めているのか考えないと。どんなにすごい作品を作っても、それがお客様の生活に必要なものでなければ売れません。それは、商売をしてみて痛いほど身に沁みました。
あなたの商品が人々に必要とされているものなら、何の宣伝をしなくても、何の苦労もなくお客さんが買ってくれます。
必要とされている商品は多くの場合、し好品や趣味のものではありません。
しかもし好品や趣味のもは、マーケットサイズが小さい。苦労するのは目にみえています。
ニットデザイナーとして大成もしなかったし、経営者としてもちっとも儲からなかった。そして、失敗談だけは誰よりも豊富な私です (苦笑)