ハンドメイドの仕事では大金持ちになれない

今まで誰も本当のことは言いませんでした。たとえ思っていても現役の時には言えなかった。でももう引退したんだもん、誰にどう思われたっていいわ、言っちゃうよ。

ハンドメイドの仕事では大金持ちにはなれない!!

世の中には、特に力を入れて宣伝しなくても、自然にお客様が来てくれるところがあります。

それは一般庶民が使うもの、毎日必要な実用品を扱っているところです。お米や食パンや肉や野菜は毎日食べるので、なんの宣伝をしなくても店先に置いておけば売れます。

洋服だってそうです。高級な呉服屋さんは普通の人は日常では着ないので、お客さんであふれることはない。だけどユニクロやしまむらは、普通の人が毎日着るものなのでお客さんであふれかえっています。

世の中には、やりやすい商売と苦労する商売があります。私が身を置いていた手芸の編み物って「高級趣味品」で、最もやりにくい商売です。「高級趣味品」は、その商品がなくても人間が生きていくことに困らないので、売るのはむずかしいのです。たとえ1000円以下のヘアアクセサリーを編んだとしても、それは必需品ではないので「高級趣味品」です。

これは、資本主義の歴史が証明しています。

マーケットサイズを考えろ!

私は、たまたま好きで編んでいた編物を、深く考えることもなく仕事として始めました。個人が都内に店舗を構えて、固定費をかけて、人件費をかけて続けられるような商売ではないのです。マーケットサイズを考えればわかります。

お米が必要な人は日本人全員ですから1億2千万人います。でも手編みが好きな人、習いたい人、買いたい人はどのくらいいるのか? 人口の10000人に一人いると仮定すると、マーケットの大きさは12000人だけです。たった12000人を相手に商売しなくてはならない。しかもライバルは掃いて捨てるほどいます。

気合と根性で頑張ればなんとかなると思ってがむしゃらに頑張ったけど、それで商売が成り立つほどお客さんはいないし、それではお金は入ってきません。

アパレルとして商品を販売したらどうか?

編物と一口に言っても、仕事の種類としてやり方が何個かあります。

手編みニットウエアを商品化し、アパレルとして売っている人たちの場合を考えます。高級糸でオリジナルセーターなどを編んで、主にデパートやギァラリーで販売する方たちです。

私は、手編みや家庭機を使って、こんなやり方で仕事として成り立たせている人を何人か知っています。一番成功している人でも、なんとか食べていけるというレベル。他の業種のように、トップは結構な収入があるかというと、まったくそうではありません。

手編みのセーターなどを欲しがるお客様自体が少なくなっています。ユニクロで3980円でよいセーターが買えるのです。糸代だけで1万円近くなり、さらに編むための人件費をかけると1着数万円になります。

こういう商品が欲しい人は、お金持ちの年配の方にほぼ限られます。そういう方自体が減っているし、少ないお客様をとりあって売らなければならないから、アパレルとしてやっていくのもたいへんなことなのです。

また、編むのには膨大な時間がかかります。自分で編める枚数は決まっています。自分が作れる作品数は限界があるということは、つまり収入の上限が決まってしまうということです。

ニッターさんを育成して編んでもらうにも、そんな人を探すこと自体、不可能に近い。販売できるほどの技術があって、安い作業代金で同じデザインの商品をずっと編んでくれる人なんて、これからは見つからないでしょう。

海外に行ってニッターさんを育成するのに何十時間もかけられる人は、個人の作家さんにはそうそういない。そんなことを考えると、ハンドメイドのニットをアパレルとしてやっていくのは、今後ますますむずかしい。

マーケットプレイスで販売したらどうか?

ニットウエアでなくても、ニット小物、アクセサリーなど、今はマーケットプレイスなどもあるから、作品が作れてスマホがあれば、リスクもなくすぐに始められます。

でも、そこでどんなものが売られているか?  趣味で作って余っているものを、すてるよりはマシという感じで大安売りしている方々がおおぜいいます。材料費にもならないものを売ってどうするの?

ここで、自分の作品は「思いを込めて作っている」とか「個性的」であるとか、お客様にわかってもらうのは至難の業です。お客様にはそんなことはどうでもいいこと。自分の好きな商品を安く手に入れたいのです。作家さんの人格とか、生い立ちとか、そんなことより安くて気にいったものがほしいのです。

作り方や技術を教えるのはどうか?

講師も、ほとんど資本金がなくても始められます。カフェや貸しスペースでなどで、場所代をほとんどをかけずに教室も開けるようになりました。

ブログやFBやツイッターをちょっとがんばれば、それなりに集客もできます。

でも、手芸やクラフトの教室は、本当に月謝が安いです。「 高級趣味品 」を扱う仕事なのに教室の単価が低いって致命傷です。ましてカルチャー教室などは講習料の半分しかもらえません。これでは交通費にもなりません。

教室を開講しても、一気に数百人も生徒さんを抱えるようにならないと利益はでません。教室の相場というものがあります。あまりにもかけはられた高額の教室には、いくら人気デザイナーでも集客することはむずかしい。

しかも、習いたい人より教えたい人の方が多い(笑)

大金持ちになりたい人は今すぐにやめてください!

大金持ちにならなくていいから、好きな仕事をして多少の収入になればうれしいという人にはおすすめです。パートに出るくらいの、おこずかい程度の収入を好きなことをして得たい、と言う人には良い仕事です。大したリスクがなく始められるからです。

世の中にはいくら死ぬ気で頑張っても発展する仕事と、衰退する仕事があります。儲かる仕事と、ぜんぜん儲からない仕事があります。冷静に数字を見ればわかります。「 高級趣味品 」を扱う仕事は一番やりにくい仕事です。

編物や手芸の作家、講師、デザイナーなどは大金持ちにはなれない仕事です。大金持ちになりたい人は、今すぐやめてください。

それでもやりたかったらニーズを考えろ!

でも私はこの仕事がやりたい、大金持ちにならなくていいから続けたい、という人は、作るものや扱う作品を工夫しなければなりません。大衆に支持されるものを扱うことです。

だれもが日常で使えるもの、使いやすい色や形にしてください。要するに普通のデザインのものを主流にしてください。

世の中とてもシンプルです。みんなが持っているもの、使っているものが売れます。カッコイイものや誰も持っていないものを売るのは至難の業です。

つまり、日常使えて、だけどちょっとおしゃれなもの、しかも自分が買える金額のものというのが売れ筋です。

ド派手な色で、どこに着ていけばいいのか、どこで使えばいいのかわからない奇抜なものは、まず売れないし作りたいと言ってくれる人もいない。この私の作品画像のようにね(泣)

かわいい、すてき、すごい、と言ってくれるけど買ってはくれません。必要とされていないからです。

もろもろのことがわかりはじめたのが遅すぎました (苦笑)

私にはこのような条件をはねのけてやっていく才覚がありませんでした。

私は、編物を仕事として成り立たせたかった。事業としてやっていきたかった。事業として利益を出したいのに、私は乗る船を間違えました。タンカーにのって石油を大量に運んで売りさばいて利益をあげたかったのに、漁船にのってしまいました。いくら頑張っても積める量は限られてしまいます。

いつしか苦しいことが増えていき、楽しくなくなっていきました。そして、仕事って何? と考えました。仕事って苦しむためにするものではないはずです。もう苦しむのはやめようと引退を決断しました。

でもハンドメイドはなくならない!

今までネガティブなことばかり書きました。でも、この仕事がまったくなくなることはないでしょう。女性は本能的に自分や自分の身の回りを飾りたいと思うし、ものを作ることは楽しいからです。

自分の周りの人に何か作ってあげたい! という気持ちは永久になくならないでしょう。

私は現状を打破できませんでした。大金持ちになることはできませんでした。これを読んでいるみんなには、ぜひ解決策を見つけて頑張ってほしい。

いろいろな問題をはねのけて、大金持ちになるクリエーターが出てほしい! と期待している私です。

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ABOUTこの記事をかいた人

高齢の母のため秋田県大仙市の実家に移住。元ニットデザイナー。NHKの素敵にハンドメイドに出させていただいたり、手芸本に作品を提供していました。現在はネットショップを運営中。実家の森川農園の手伝いもしています。森川農園ではアスパラガス・ダリア・野菜・米を栽培しています。現在の夢は森川農園を日本一のアスパラガス農家にすること。2018年乳がん発症。闘病中。くわしいプロフィールはこちらです。